こんな疑問を解決します!
私は技術系国家公務員一般職として9年間勤務し、人事評価で「優秀」を取り続けてきました。
しかし、公務員を辞めることを真剣に考え、転職活動に挑戦しました。
結果として内定をいただいたものの、家庭の事情で辞退。
現在は、来年度の転職を目指して準備中です。
この記事では、私自身の経験をもとに、公務員を辞めるべきか、あるいは続けるべきかを判断するヒントをお伝えします。
「公務員を辞めたい」と感じている方が一歩踏み出す参考になれば幸いです。
国家公務員の退職者の増加
近年、国家公務員の自己都合による退職が増加傾向にあります。
人事院人材局企画課が令和6年7月に公表している「総合職試験採用職員の退職状況について」によると、右肩上がりで退職者が増加しています。
出典:人事院人材局企画課:令和6年7月公表「総合職試験採用職員の退職状況について」
令和2年は、新型コロナウイルスの流行により転職リスクが高まった影響で、一時的に退職者数が減少したものの、その後は再び増加に転じています。
この傾向は、公務員からの転職が一種の「ブーム」になっていることが示されています。
かつて公務員といえば「定時に帰れて安定し、給料もそれなりにもらえる」職業として人気がありました。
しかし、現代ではそのイメージが変わりつつあります。
職場の人員不足が深刻化し、一人当たりの業務量が増加し、残業時間も部署によっては多いです。
その結果、公務員であることの安定性や魅力が以前ほど感じられなくなっています。
さらに、民間企業では公務員に比べて年収が大幅に高いケースも多く、同じような働き方をしていても数百万円の差が出ることもあります。
これが、働き方や給与面での不満を理由に公務員を辞める人が増えている一因と考えられます。
実際、私の周囲でも年収を理由に公務員から転職を選ぶ同僚が増えていることを実感しています。
公務員を辞める理由
仕事のやりがいが感じられない
公務員の業務は他律的で、自分で意思決定をして業務を進めていくといった場面が少ないのが現実です。
多くの業務は上司の決裁を経て進められ、他部署からの依頼業務に追われることも多くあります。
そのため、スキルアップや自己成長を実感しにくいのが特徴です。
また、技術公務員の特徴ですが、設計や施工を手掛けるコンサルタントやゼネコンとは異なり、発注者として指示を出す立場にある公務員は、「自分で何かを作り上げた」という達成感を得る機会が少なくなっています。
さらに、職場で周りから優秀と評価される職員ほど、業務が集中する傾向があります。
当局では優秀と感じる人ほど残業時間が多いです。
上司や同僚からの信頼を背景に、資料作成や会議での説明対応などのタスクが多く割り振られるため、自分が本来取り組みたい仕事に時間を割くことができません。
このように、やりがいを感じられない状況が続くことが、公務員を辞める理由の一つとして挙げられます。
キャリアの成長が限られている
公務員の給与体系は基本的に年功序列で、年齢や勤続年数が重要な指標となっています。
たとえ成果を上げても、若手職員の年収は一定の範囲内に収まるため、努力や実績が報われにくいと感じる人も少なくありません。
実例を挙げると、どう考えても他の人より効率よく業務を回せたからといって、大きく同僚と年収が変わることがありません。
多少昇給が多くなったり、ボーナスで加算が少しあったりと、あまり変わらないのが現状です。
下図が国家公務員の俸給です。
人事評価は形式的に行われますが、民間企業のように個々の成果を基にした昇進や昇給は難しく、結果としてキャリアアップのチャンスが限られています。
このため、同僚からも「自分の努力が将来にどのように繋がるのか見えない」という声が多く聞かれます。
また、当局では約2年程度で転勤があるため、特定のスキルを深めるよりも、幅広い業務を経験することが求められます。
私みたいに技術公務員として、専門性を高めたいと考える人にとっては少し不満が残る仕組みです。
こうした現状が、モチベーションの低下や転職を検討する理由の一つになっています。
公務員特有の業務、人間関係に悩んでいる
公務員特有の業務、人間関係は例えば以下があります。
- いちいち決裁が必要
- 異動が頻繁にある
- 年功序列の人間関係
- 住民対応や議会対応の負担
- 雑務の多さ(資料印刷や会議準備など)
- 業務の透明性や説明責任
上記のように公務員は、国民の税金等により給料や公共事業を推進していくため、どのようなことも慎重に大人数で議論し、透明性を確保できる説明を決める必要があります。
その結果、現場では非効率な業務が発生し、若手職員が多くの負担を抱えることになります。
例えば、課長が業務にほとんど関与せず、若手職員が作成した資料に対して口だけで指摘することもあり、どのように対応したらいいかわからなくなり負担になっていることがあります。
こうした状況では、「自分が一生懸命働いても、評価されるのは上司」という不公平感が生まれます。
また、職場内の人間関係もストレスの原因です。
必ずしも課長が優秀なわけではなく、課長ぐらいなら本当に変わった人や仕事をめちゃくちゃにしない人でない限り、昇格してなってしまいます。
上司の情報共有が不足している場合や、ポンコツな上司からの理不尽な指示が繰り返されることで、部下はストレスが溜まります。
このような職場環境が、離職を考えるきっかけになることは珍しくありません。
給与や待遇に不満がある
公務員の給与に対する不満は、特に若手職員の間で大きな課題です。
たとえ人事評価で「優秀」とされた場合でも、ボーナスでの加算は10%程度に留まり、同僚との年収差はほとんどありません。
私は「非常に優秀」と評価されましたが、ボーナスは10%の増加でした。
係長級で周りに聞いても10%以上のボーナスをもらっている人はいなかったので、課長等が評価されていることがわかります。
下図のように人事院勧告で令和6年から特に優秀の成績率上限が3.15倍になりましたが、若手職員で「特に優秀」になることはほとんどありませんので、あまり関係ないかと思います。
出典:令和6年 人事院勧告
このように「どれだけ頑張っても報酬に反映されない」という思いが強まります。
また、優秀な職員ほど忙しい部署に配属されやすく、長時間労働や休日出勤が増える一方で、待遇の改善が伴わないこともあります。
民間企業であれば、成果次第で大幅な昇給や昇進が期待できるため、相対的に公務員の給与水準が低く感じられることがあります。
このように、努力に見合わない報酬や待遇の現状が、辞職を検討する大きな理由となっています。
個人の目標や夢を追いたい
公務員を辞める理由の中には、「自分の夢や目標を追いたい」という前向きなものもあります。
例えば、同僚で飲食業界に興味を持つ若手職員が、公務員のモチベーションが上がらないと感じ、専門学校へ進学するために退職したケースがあります。
公務員という職業が必ずしも自分に合っているとは限らず、別の分野での活躍を目指す人も少なくありません。
また、「もっと自分の能力を活かせる仕事に就きたい」や「家族や自分の生活スタイルに合った働き方をしたい」といった理由で、新しい環境を目指す人も多いです。
このように、個人の価値観や目標に基づいて退職を選ぶケースも公務員には珍しくありません。
公務員を辞めない方がいい人
安定した収入や福利厚生が最優先の人
公務員の最大の魅力は、安定した収入と手厚い福利厚生にあります。
民間企業ではリストラや景気変動による収入減少のリスクがありますが、公務員はそのような心配がほとんどありません。
さらに、公務員の休暇制度は充実しており、年次有給休暇はもちろん、夏季休暇や年末年始休暇、育児休暇、介護休暇などが取得しやすい環境です。
また、退職金も年数を重ねるほど高額になり、定年まで働いた場合は約2000万円を受け取ることが可能です。
このような安定性を重要視する人にとって、公務員という職業は大きな魅力を持ちます。
もし経済的なリスクを最小限に抑え、安定したライフプランを求めるなら、退職を慎重に検討すべきでしょう。
リスクを取るのが不安な人
新しいことに挑戦する際には、必ずリスクが伴います。
公務員の職場は、他の職業に比べてリスクが少なく、安定性が高い点が魅力です。
そのため、未知の環境に飛び込むことに不安を感じる人や、責任を負うことに抵抗がある人は、現状のまま公務員として働くほうが適している場合があります。
リスクを恐れず行動することで新たなチャンスを掴める可能性もありますが、それには計画性と覚悟が求められます。
現状に不満があるものの、リスクに対する不安が強く行動できないのであれば、退職や転職は避け、今の環境でできる改善策を探るほうがよいかもしれません。
個人的にはハイリスクは避けて、許容できるリスク内でチャレンジしていきたいです!
独立や転職に対する明確な計画がない人
将来の目標や計画が曖昧なまま退職すると、後悔する可能性があります。
公務員を辞めた後、どのようなキャリアを築きたいのか、具体的なプランを持つことが重要です。
例えば、「自由な働き方がしたい」「専門性を生かしたい」といった目標があっても、それを実現するための具体的な方法やスキルが不足している場合、転職後に困難に直面することもあります。
計画なしで退職した場合、高額な情報商材や目新しいビジネスに手を出し、経済的に苦しくなるリスクもあります。
目標や計画がない場合は、まずは現職でのキャリアを活かしながら、自分の将来を冷静に見つめ直す時間を確保するのが賢明です。
ストレスが一時的なものであると感じている人
業務上のストレスは一時的なものである場合も少なくありません。
人間関係やプロジェクトの進行が原因であっても、状況が改善されればストレスも軽減されることがあります。
公務員は異動があるため、人間関係であれば数年で改善される可能性もあります。
公務員には様々の選択肢もあり、メンタル不調に陥った場合でも適切なサポートを受けながら回復を図ることができます。
- 休職制度の活用
- 配置転換の要望
- 人事担当課に相談
一時的な不満やストレスで退職を決断するのではなく、まずは上司や同僚に相談し、解決策を模索することが大切です。
公務員の仕事にやりがいを感じているなら、安易な退職ではなく、福利厚生の制度を利用してストレスを軽減する道を選ぶべきでしょう。
公務員を辞めることのメリット
自由な時間と柔軟な働き方
公務員を辞めることで、自由な時間や柔軟な働き方を実現できる可能性があります。
現在では、フルリモート勤務が可能な企業も増えており、ITエンジニアなどの職種では完全在宅で働き、自分の生活に合わせた働き方が可能です。
一方、公務員では在宅勤務やフレックス勤務の制度が存在しても、部署や職場の文化によって利用しづらいのが現状です。
特に現場対応が必要な部署では、物理的に自由な働き方が難しい場合もあります。
しかし、民間企業やフリーランスとして働く場合、時間や場所に縛られず、自分のペースで仕事を進めることが可能です。
この柔軟性は、家庭や趣味、自己研鑽に時間を充てたいと考えている人にとって大きな魅力です。
ライフスタイルをより自由にデザインしたい人には、退職がその第一歩となるでしょう。
キャリアの幅が広がる
公務員の業務は、定型的でルーティンワークが多く、個人のスキルアップに繋がりにくいと感じる人も少なくありません。
また、部署異動が頻繁に行われるため、専門性を深める機会が限られることも課題です。
例えば、公務員である分野の経験を積み重ねても、異動により全く異なる業務を担当することになり、継続的なスキル磨きが難しくなるケースがあります。
これに対して、民間企業やスタートアップでは、自分が目指す専門分野に特化してキャリアを築ける環境が多く存在します。
さらに、公務員を辞めることで新しい業界や職種に挑戦するチャンスも広がります。
これにより、自己成長やスキルアップを通じて、より充実した職業人生を築くことが可能となるでしょう。
プライベートの充実
公務員の仕事は安定している反面、部署によっては残業や緊急対応が多く、プライベートの時間が制限されることがあります。
休日出勤や突発的な業務が発生するケースも珍しくありません。
災害時には休日関係なく、出勤要請がありますし、繁忙期は土日出勤もあります。
そのため、趣味や家族との時間を十分に取れないと感じている人も少なくないでしょう。
しかし、ワークライフバランスを重視する企業に転職すれば、これまで以上にプライベートの時間を確保できる可能性があります。
この時間を活用して資格取得や自己研鑽に励むことができ、人生の充実度を高めることができます。
趣味や家族との時間を楽しみつつ、自分のスキルを高めて未来を切り拓くことが可能になるのは、退職による大きなメリットの一つです。
収入の増加の可能性
公務員の給与は安定していますが、高水準ではなく、昇給も緩やかです。
同業種の民間企業と比較すると、特に若い世代では収入面での差を感じ不満に感じている人も多いでしょう。
転職や独立をすることで、収入を大幅に増やせる可能性があります。
実際に、年収500万円台のよしとが転職活動を行い、600万~650万円のオファーを得ました。
公務員時代の経験やスキルを活かし、即戦力として評価されることで、転職で短期間で収入を上げられる場合もあります。
増えた収入を活用して資産形成を進めたり、趣味や旅行に投資したりと、経済的自由度を高めることが可能です。
収入の面での不満を解消したい人にとって、退職し転職することは有効な選択肢となり得るでしょう。
まとめ:公務員のキャリアプラン
公務員からの退職者が増加する背景には、業務量の増加や給与面での不満、自己成長の限界、非効率な職場環境など、多くの課題が存在しています。
一方で、公務員の安定性や福利厚生の充実は、他職種にない大きな魅力です。
そのため、退職を検討する際は、自身の価値観や目標、リスク許容度を十分に見極めることが重要です。
ただ、以下のように公務員を辞めることでメリットがあるかもしれません。
- 自由な時間と柔軟な働き方を手に入れられる
- キャリアの幅を広げられる
- プライベートを充実させられる
- 収入を増加させるチャンスがある
自分の人生設計を見据え、どのようなキャリアを歩みたいかを考えるきっかけとなり、現職の公務員が新たな挑戦に踏み出す背中を押せたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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