よしとこんな疑問を解決します!
私は技術系国家公務員一般職として9年間勤務し、3ヶ月の育休を取得しました。
育休中に実際に転職活動を行い、10社に応募した経験があります。
全て書類選考落ちでした…
育休中は最初は家事育児で大変ですが、生活リズムが整ってきたら案外時間があり、転職活動ができました。
この記事では、私の体験をもとに、
- 育休中に転職活動をしても問題ないのか
- 育休中の転職活動で準備すべきこと
- 注意すべき制度面や家族との調整
- 実際に応募して分かった現実と学び
について、分かりやすく解説します。
育休中にキャリアを考えたい公務員の方に、少しでも参考になれば幸いです。
公務員の育休中に転職活動してもいいのか?
結論から言うと、育休中に「転職活動」を行うことは可能です。
ただし、「転職活動」と「転職(退職・入社)」は明確に分けて考える必要があります。
育休中の転職活動は法律上問題なし
国家公務員・地方公務員ともに、育児休業法や人事院規則において、「育休中に転職活動をしてはいけない」という規定はありません。
したがって、求人を調べたり、転職サイトやエージェントに登録したり、面接を受けたりすること自体は違法ではありません。
ただし、育休中も「在職中」であるため、勤務先に無断で副業・兼業を行うことは依然として禁止されています。
あくまで「転職先に応募」「情報収集する」という範囲で活動するようにしましょう。
辞職・退職のタイミングには注意が必要
実際に内定をもらい、転職を決める場合は、辞職願の提出や退職日を慎重に設定する必要があります。
特に公務員の場合は「辞職願の提出から退職日までに時間がかかる」ことが多く、育休中のまま退職するケースは手続き上やや複雑です。
例えば、
- 育休中に退職 → 転職先に勤務
- 育休復職後に退職 → 転職先に勤務
といった流れの違いによって、育児休業給付金の支給停止や共済組合の資格喪失日にも影響が出ます。
そのため、退職時期や新しい職場の入社時期は、特段の事情がない限りは育休復帰後に退職した方が、
・育休満了まで給付金を受け取れる
・有給休暇が残っていれば使える
のメリットがあるため、育休復帰後の退職が安心です。


30代の私が育休中に転職を考えた理由
近年、公務員でも「転職を考える人」が少しずつ増えています。
以下、総合職試験採用職員(キャリア官僚)の退職状況です。
右肩上がりに伸びていることがわかります。


(出典:令和6年人事院 総合職試験採用職員の退職状況について)
私自身も、育児休業の期間を利用して転職活動を行いました。
理由は時間的・心理的な余裕が生まれ、自分を見つめ直すきっかけになったからです。
育休中は“立ち止まって考える”貴重な時間
普段の仕事に追われていると、自分のキャリアをじっくり考える時間はなかなか取れません。
しかし育休中は、物理的に職場を離れることで、これまでの働き方を客観的に見つめ直すことができます。
・「このまま今の職場で働き続けていいのか?」
・「もっと家族との時間を大切にできる働き方はないか?」
・「自分のスキルを違う環境で試してみたい」
こうした問いが自然と浮かび上がり、転職という選択肢を現実的に考えました。
育児を通して価値観が変わる
子どもが生まれると、これまで当たり前だった生活や価値観が大きく変わります。
私自身も、夜中のミルクやおむつ替え、寝かしつけをしながら、「家族の時間をもっと確保したい」「在宅勤務等柔軟に働ける職場で成長したい」と感じるようになりました。
特に公務員は安定している一方で、異動や残業が多く、家庭との両立に悩む人も多いです。



自分もいつ県外に異動してくれと言われるかびくびくしています⋯
「仕事よりも、家族を大事にしたい」と考え始めるタイミングが、まさに育休中なのです。
自分の市場価値を確かめたい
長く同じ職場にいると、自分のスキルが社会でどの程度通用するのか分からなくなります。
転職サイトやエージェントを通して求人を見てみると、
・意外と自分の経験でも通用しそう
・公務員より福利厚生がいいな
と気づくこともあります。
実際、私は育休中に改めて転職エージェントに登録し、面談をお願いしました。
その結果、「自分の市場価値」を客観的に知ることができたのは大きな収穫でした。
“家族との時間”と“キャリア”を再設計するタイミング


育休は「家庭」と「仕事」のバランスを再設計する絶好のタイミングでもあります。
これまで仕事中心だった生活を見直し、家族の時間を確保しながらキャリアを築くために、どんな働き方が理想なのかを考える時期です。
「子育ても仕事も両立したいけれど、今の職場では難しい」
そう感じる人にとって、育休中の転職活動は“前向きな選択肢”と言えます。
育休中の転職活動の準備
育休中の転職活動では、「いきなり応募」ではなく、まず自己整理と情報収集が大切です。
時間が限られているからこそ、効率的に動けるように準備段階をしっかり踏んでおくと、後悔のない転職活動ができます。
① 自分の価値観を整理する
育休中は、家族のことや将来のことを考える時間が自然と増えます。
そのタイミングで、自分がどんな働き方をしたいのかを言語化しておくことがとても重要です。
たとえば、以下のように具体的な数値で条件を設定しておくと、求人選びがスムーズになります。
・年収:500万円以上
・残業:月20時間以内
・通勤時間:片道30分以内
・在宅勤務:週1回以上
こうした「譲れない条件」を明確にすることで、後から迷わずに済みます。
また、全て満足できる求人があればいいですが、ある程度妥協も必要になってくることもあります。
そのため、これらの条件に優先順位を付けて整理しておくと、選択肢の幅が広がります。
② 履歴書・職務経歴書を整える
育休中は、頭を整理して過去のキャリアを振り返るのに最適な時期です。
日々の業務から離れている今だからこそ、冷静に自分の実績やスキルをまとめられます。
特に公務員の場合、「どんな成果を出したか」を数値化して書くのがポイントです。
自分は技術系公務員なので、面接を受けた際には以下の回答が感触が良かったです。
また、民間企業では「チームでどう動いたか」「課題をどう解決したか」が重視されます。
単なる職務経歴ではなく、“成果につながるプロセス”を意識して整理すると良いでしょう。


③ 転職エージェントに登録して情報を集める
転職活動を効率化するうえで、転職エージェントの活用は必須です。
公務員から民間への転職は情報が少ないため、エージェントを通じて業界や職種の傾向を知ることが重要です。
私はリクルートエージェントに登録し、担当者から職務経歴書の添削や求人紹介を受けました。
無料でキャリア相談ができるため、「まだ転職するか迷っている」段階でも登録してOKです。
さらに、以下のようなツールを活用すると、自己理解が深まりやすくなります。
こうした診断をもとに、自分の強みや価値観を整理しておくと、面接でも一貫性のある話ができるようになります。


④ 家族とキャリアビジョンを共有する
育休中の転職活動では、家族の理解と協力が欠かせません。
特に小さな子どもがいる家庭では、面接や書類作成の時間をどう確保するかが課題になります。
私は事前に妻と話し合い、「何曜日の午前中は面接時間にあてる」などスケジュールを共有していました。
家族と一緒にキャリアを考えることで、「子育てと仕事をどう両立させたいか」という軸も自然と定まります。
育休中の転職活動の注意点
育休中は時間の余裕がある反面、転職活動にはいくつか注意すべき点があります。
特に公務員の場合、制度面の制約や手当の扱いなど、民間とは異なる部分も多いため、事前の確認が欠かせません。
ここでは、私が実際に体験して感じた注意点を紹介します。
① 給付金が打ち切られる可能性がある
まず注意したいのが、育児休業給付金の支給条件です。
育休中に退職してしまうと、原則として給付金はその時点で支給停止になります。
公務員の場合は共済組合が窓口となるため、民間とは手続きが異なりますが、基本的な考え方は同じです。
- 育休中に退職 → 給付金は打ち切り
- 育休明けに復職してから退職 → 給付金は満額支給
つまり、「転職先の入社時期」をどこに設定するかで、もらえる金額が大きく変わります。
基本的には育休明けに退職がおすすめですが、事情があり育休中に退職する場合は、手続きに注意が必要です。
また、お得な育休の取り方は以下記事を参考にしてください。


② 社会保険・年金の切り替え時期にも注意
公務員を退職して民間企業へ転職する場合、共済組合から社会保険(健康保険・厚生年金)への切り替えが発生します。
この際、加入の空白期間ができると手続きが煩雑になることがあります。
例えば、
- 退職日と入社日が1日でも空く
- 育休中に退職し、しばらく無職期間がある
といった場合には、国民健康保険・国民年金への一時的な加入が必要になります。
特に育児中は病院の利用も多いので、保険証の切り替えタイミングは慎重に確認しておきましょう。
③ 家族の協力が欠かせない
育児と転職活動を両立するには、家族の理解と協力が必須です。
私自身、面接や書類作成の時間を確保するために、妻とスケジュールを細かく調整していました。
「この日の3時間だけ子どもをお願いできる?」
「◯日のこの時間は面接の予定が入るかも」
こうした事前の相談をしておくことで、妻も準備ができ精神的にも余裕が生まれます。
家庭と転職の両立は決して簡単ではありませんが、家族と協力しながら取り組んでいくことが重要となります。
④ 復帰時期と職場の印象に注意
もう一つの悩みは、「育休明けすぐに退職してもいいのか?」という点です。
正直に言えば、職場によっては良い印象を持たれない場合もあります。
私も実際、復帰後すぐの転職を検討しましたが、「お世話になった職場に申し訳ない」という気持ちが強く、タイミングを迷いました。
この場合のおすすめは、
・復職後、数ヶ月間は勤務してから退職する
・丁寧に引き継ぎを行う
といった形で、誠実な対応を心がけることです。
転職理由がポジティブであれば、理解を得られるケースも少なくありません。
⑤ メンタル面のアップダウンに注意
育休中の転職活動は、予想以上に気持ちの浮き沈みがあります。
私も10社に応募してすべて落ちたときは、正直かなり落ち込みました。
「やっぱり今の職場を辞められないか…」と不安になりました。
ただ、振り返るとこの経験が大きな学びになりました。
転職活動は「落ちること」も前提のプロセスです。
企業からの採用は巡り合わせでもあるので、タイミングにもよります。
今回だめでも、またあきらめずにチャレンジする気持ちは大事です。
自分の場合は、転職活動から切り替えて、資格取得やスキルアップに力を入れました。
育休中に転職活動をしてみた結果
私は育休期間中に約10社へ応募しました。
結果から言うと、全て書類選考で不採用でした。
正直、想像以上に厳しい現実でしたが、その中で見えてきた課題や気づきも多くありました。
以下のようなお祈りメールがたくさん来て凹んでしまいました…


① 書類選考10社すべて不採用
応募したのは主に「未経験(IT)の営業職」や「環境関連の技術職」など、未経験職種から多少経験済みの技術系職種でした。
結果はすべて書類選考で落選。
当初は「経験や年齢的にそこまで不利ではないだろう」と思っていましたが、現実は甘くありませんでした。
特に感じたのは、“未経験職種の壁”です。
技術系の公務員で様々な経験をしてきましたが、求められる知識や実務経験が違ったようです。
多少 「関連性がある」と思っても、企業側から見ると“即戦力”ではなかったのだと思います。
② 不採用の主な原因を振り返る
落ちた理由を冷静に分析すると、いくつかの要因が見えてきました。
- 未経験職種への応募が多かった
→ 未経験の営業。環境関連分野は未経験なので、評価されにくかった。 - 育休中の応募時期が早かった
→ 育休明け半年後の4月入社希望だったため、「すぐ入社できない」ことが企業にとってマイナス要因になった可能性。 - 希望条件がやや高めだった
→ 年収600万以上、勤務地の条件を妥協せずに応募していた。 - 時期的に求人数が少なかった
→ 7月に応募したため、求人動向が落ち着いていた。
これらを踏まえると、「育休中の転職活動=難しい」というより、戦略の立て方次第だと感じました。
自分のスキルと希望条件を整理し、タイミングを見極めることが鍵です。
③ 育休前の転職活動との違い
実は、育休に入る前にも転職活動を行っており、そのときは類似業種で2社から内定をいただいていました。
この経験と比較すると、やはり「応募時期」と「職種のマッチ度」が大きな差を生んでいます。
- 育休前:現職の延長線上(技術系)で年度末頃に応募 → 通過率が高かった
- 育休中:未経験分野(IT営業職等)中心で上半期に応募 → 書類で落ちやすかった
この違いから、書類通過しやすいコツは、「スキルの延長線上にある企業を狙う」ことの重要性を改めて実感しました。
リクルートエージェントで内定までいった経験談を詳しく見たい方は以下を参考にしてください。


④ 結果を通じて得た気づき
10社すべて不採用という結果ではありましたが、やってみて良かったと思っています。
理由は、転職市場での自分の立ち位置を把握できたからです。
・自分の経歴がどの業界で通用しやすいか
・年収や勤務地の相場感
・自分が大切にしたい働き方
これらが明確になったことで、今後のキャリアの方向性を冷静に考えられるようになりました。
「転職しない」という選択肢を含めて、自分の納得感を持って判断できたのは大きな収穫でした。
また、時期をみて求人を見て、応募していきたいと思っています。



諦めずに頑張ります!!
育休中の転職活動で得られたこと


育休中に転職活動を行ってみて、実際に感じたことや学びは多くありました。
結果として内定にはつながりませんでしたが、「転職活動をしてみてよかった」と感じています。
その理由を、3つの視点からお伝えします。
① 転職時期の重要性を実感
育休中は自由に動ける時間が増えるため、転職活動には適していると思われがちですが、実際には求人数が大きく変動します。
特に転職市場では、
・4月入社や10月入社
・年度の区切り
に求人が集中する傾向があり、タイミングを逃すと応募できる求人が限られてしまうこともあります。
また、企業によっては「すぐに働ける人」を優先する可能性もあるため、育休中というタイミングがネックになる場合もあります。
この経験を通して、「自分の希望時期に募集があるか」を早めに確認しておくことの重要性を感じました。
② 自分の市場価値を把握できた
実際に複数の企業に応募してみると、書類選考の通過率や面接内容から、自分の市場価値がある程度見えてきます。
公務員としての経験は、
・安定
・責任感
・継続力
といった点で評価されやすい一方で、
民間企業が求める
・スピード感
・専門性
・即戦力性
の面では不利に働くことがあると感じました。
それでも、「今の自分のスキルや経験がどの業界・職種で通用するのか」を知れたことは大きな成果でした。
転職活動はノーリスクです。
気に入った企業が見つかれば応募し、見つからなければ現職を続ける、という選択ができるためあまり気負わないで行動してみましょう。
③ 子育てと両立しやすい企業を意識できた
育休中は家庭と向き合う時間が多くなるため、転職活動でも「子育てとの両立」が自然と重視されるようになります。
例えば、
・テレワーク制度がある企業
・残業が少ない職場
など家族の生活リズムに合った企業選びを意識するようになりました。
家族と相談しながら応募企業を選定できたことで、キャリアと家庭の両立のイメージがより現実的になりました。
まとめ:育休中の転職活動は「自分を見つめ直すチャンス」
育休中の転職活動は、思った以上にハードルが高く、計画的な準備や家族の協力が欠かせません。
しかし同時に、「自分のキャリアを冷静に見直せる貴重な時間」でもあります。
今回、私自身が育休中に転職活動をしてみて感じたことを振り返ると、次のような学びがありました。
・育休中でも転職活動は可能(法的にも問題なし)
・子育てを通じて、自分の「働き方の優先順位」が明確になった
・転職時期や求人動向を早めに把握しておくことが大切
・市場価値を知ることで、今後のキャリア方針が立てやすくなった
・家族と相談しながら転職を進めると、より現実的な選択ができる
転職活動の結果だけに一喜一憂せず、「今後のキャリアの土台づくり」と考えることで、育休期間を有意義に過ごすことができます。
また、「転職活動をしてみたけれど、やっぱり今の職場で頑張ろう」という選択も立派な結論です。
育休中の時間を、仕事・家庭・自分自身の将来を見つめ直すきっかけにしてみてください。
その経験は、きっと今後のキャリアにプラスになります。
最後までお読みいただきありがとうございました!

