よしとこんな疑問を解決します!
入所してから人事評価で「非常に優秀」を取り続けている技術系国家公務員一般職10年目のよしとが、資格手当について解説します!
現場、設計、積算、発注者業務を経験する中で、資格の価値について考えたので、少しでも参考になれば幸いです。
「国家公務員の技術職に資格手当はあるのか?」
結論から言えば、原則として毎月支給される資格手当はありません。
資格を取る意味はないのでしょうか。
それとも、取らないことの方がリスクなのでしょうか。
この記事では、土木系技術職に限定して、制度の実情と現場感覚の両面から整理します。
- 「資格手当がないのは本当か?」
- 「それでも資格は取るべきか?」
- 「民間と比べて不利なのか?」
こうした疑問を、感情論ではなく、制度とキャリアの観点から明確にします。
現役の技術系公務員の方が、今後のキャリア戦略を考える材料になれば幸いです。
国家公務員技術職における資格手当の現状
結論から言えば、国家公務員の技術職に資格手当は原則ありません。
行政職と同様に、特定の資格(技術士や各種免許など)を保有していても、毎月定額で支給される資格手当制度は設けられていません。
国家公務員の給与は「俸給+各種手当」で構成されていますが、主な手当は次のようなものです。


この中に、資格保有に対する恒常的な手当は含まれていません。
そのため、たとえば一級土木施工管理技士などの資格を取得しても、給与に直接的な上乗せはありません。
勉強に費やした時間や労力が、金銭的に評価される仕組みは基本的にないのが現状です。
技術職と行政職は同じ給与体系
国家公務員には技術職と行政職がありますが、給与体系は同じ「行政職俸給表(一)」が適用されます。
業務内容は明確に異なります。
- 技術職:公共施設やインフラの計画・設計・施工管理、技術基準づくり、環境・安全対策など
- 行政職:政策立案、事務調整、法令対応など
しかし、俸給表は共通です。
基本給に差はなく、差が出る可能性があるのは以下のような部分です。
- 時間外勤務手当
- 地域手当
- 住居手当
つまり、「専門資格を持っているかどうか」は給与水準に直結しません。
現場で生まれる不満
この制度設計に対して、現場では次のような声が出やすいのも事実です。
- 専門知識を磨いても待遇が変わらない
- 民間企業の資格手当が魅力的に見える
- 事務職と同じ俸給体系に違和感がある
特に技術職は、電気・土木・建築など高度な専門性を求められます。
その専門性が給与体系に反映されないことに対し、不満を抱く人が一定数いるのは自然な流れと言えるでしょう。
制度上は平等ですが、体感としては「専門職としての評価が可視化されにくい」構造になっています。
これが、国家公務員技術職における資格手当の現状です。
資格手当がないデメリット



資格手当がないと民間企業に流れるんじゃ⋯



それも一因となって、技術系公務員の転職が増えている印象だね。
資格手当がないことは、単なる「お金の問題」ではありません。
組織運営や個人の成長にも影響を及ぼします。
主なデメリットは、次の2点です。
- 自己研鑽が進みにくい
- 民間企業と比べて手当面で劣る
順に整理します。
① 自己研鑽が進みにくい
技術系公務員は、土木・電気・建築などの専門知識を前提に業務を行います。
しかし、資格を取得しても待遇が変わらない環境では、自己研鑽へのインセンティブが弱くなりがちです。
発注者としてコンサルや施工業者とやり取りをする場面では、専門知識の差が露呈することがあります。
例えば、
- 受注者側のほうが制度や技術基準に精通している
- 技術的な議論で会話レベルに差が出る
- 判断に時間がかかる
その結果、
- 不要な確認作業が増える
- 受注者に追加の負担をかける
- レスポンスが遅れ、業務効率が下がる
といった事態が起こり得ます。
もちろん、すべての公務員がそうではありません。
しかし、制度として資格取得を後押ししない以上、積極的に勉強する人とそうでない人の差は広がりやすくなります。
専門職である以上、自己研鑽を促す仕組みは本来必要です。
その一つの手段として、資格手当というインセンティブは合理的だと考えられます。
② 民間企業と比べて手当面で劣る
民間企業では、資格取得に対して明確な報酬制度を設けているケースがあります。
例えば、
- 合格祝い金の支給
- 月額の資格手当
- 受験費用や講座費用の会社負担
土木系資格の相場を調査したところ、
- 一級土木施工管理技士:月1万円前後
- RCCM:月1万円前後
- 技術士:月3万円前後
といった例が一般的でした。
これに対し、国家公務員では資格を取得しても基本給は変わりません。
長期的に見ると、年収ベースで数十万円の差が生じる可能性もあります。
この差は、国家公務員技術職が転職を検討する一因になり得ます。
実際、転職市場では「資格保有」は明確な評価対象です。
私自身も転職活動を通じて、土木系資格の市場価値を実感しました。
類似業種への転職では、資格の有無が年収やポジションに直結するケースもあります。


次章では、資格を持つことで得られる具体的なメリットについて整理します。
資格を持っているとどうなる?


国家公務員には原則として資格手当はありません。
しかし、それでも資格を取得している職員は一定数います。
では、資格を持つことで何が変わるのでしょうか。
主な効果は次の3点です。
- 昇進に間接的に影響する可能性がある
- 特定のポストで優遇される可能性がある
- 再就職・転職で有利になる
順に整理します。
① 間接的に昇進に影響する可能性
資格を持っているからといって、昇進が保証されるわけではありません。
国家公務員の昇進は、勤務評価・年次・人事配置など複合的な要素で決まります。
ただし、人事意向書には保有資格を記載する欄があります。
ここで資格の有無は可視化されます。
評価にどの程度反映されるかは明確ではありませんが、
- 専門性への努力が見える
- 自己研鑽に取り組んでいる姿勢が伝わる
- 技術的な裏付けがあると判断されやすい
といった点で、プラスに働く可能性はあります。
実際に、施工管理技士や技術士を保有している職員は、技術的な議論に強く、周囲からの信頼も厚く幹部まで上り詰めている上司もいます。
また、発注者が受注者に資格取得を推奨している以上、「発注者側が無資格」という状態に疑問の声が出るケースもあります。
実際に各業界から発注者も資格取得の推奨を訴えられているようです。
制度上の明文化はなくても、組織内での評価や信頼形成には影響すると言えるでしょう。
② 資格によってポストが広がる可能性
資格はポスト選択の幅を広げる要素にもなります。
たとえば、語学系資格(TOEICなど)で高得点を取得している場合、国際業務や海外関連ポストへの異動の可能性が高まるケースがあります。
実際に、海外勤務を目指して計画的に資格取得に取り組む職員もいます。
これは直接的な手当ではありませんが、
- 経験の幅が広がる
- 在勤手当も出て、所得が増える
- キャリアの希少性が高まる
といった形で、将来的な市場価値に影響します。
重要なのは、「自分の職場で資格がどのように評価されているか」を把握することです。
職場で周囲の事例を確認し、戦略的に動く必要があります。
③ 再就職・転職で明確に有利
最も現実的なメリットはここです。
定年後、あるいは途中転職を考えた場合、資格は明確な評価対象になります。
土木系であれば、特に次の資格が有利です。
- 技術士
- 一級土木施工管理技士
- RCCM
ゼネコンやコンサルでは、これらの資格が受注時に「加点対象」や「必須条件」になることもあります。
役職や年収にも直結するケースがあります。
特に定年後の再就職では、資格がないと管理ポストに就けない場合もあります。
そのため、50代以降に資格取得に励む職員も少なくありません。



公務員ならではの保身を重視する考えの方が多いので、再就職を考えて定年間際に資格取得をしているようです。
市場価値を意識するなら、資格は“保身のため”ではなく、“選択肢を広げるため”に早期取得する方が合理的です。
4. 公務員でも資格手当がある?
結論から言うと、国家公務員には原則として資格手当はありません。
一方で、地方自治体では独自に資格手当や助成制度を設けているケースがあります。
ここでは、具体例を挙げて整理します。
■ 三鷹市
三鷹市では、資格取得そのものに対して「手当」を支給するのではなく、資格取得にかかる費用を助成する制度を設けています。
(参考:三鷹市職員の資格取得に係る経費助成要綱)
目的は以下の通りです。
専門性の向上に係る自己啓発への取組を支援し、職員の資質の向上及び公務の質の向上に役立てること
助成対象
- 資格取得のための受験料および登録料
- 資格取得のための受講料等
助成額
- 30,000円までは全額補助
- 30,000円を超える部分は50%補助
例えば、一級土木施工管理技士(受験費用約25,000円)であれば、全額補助となります。
これは「取得後の手当」ではなく、「取得を後押しする仕組み」です。
直接的な給与増にはなりませんが、心理的ハードルを下げる効果はあります。
■ 佐賀市
佐賀市では、資格取得後に期間限定で資格手当を支給しています。
(参考:佐賀市職員の特殊勤務手当に関する規則)
支給期間
資格取得後 3年間
支給額(月額)
- 一級建築士:5,000円
- 第一種電気主任技術者:5,000円
- 第二種電気主任技術者:4,000円
- 技術士:5,000円
- 一級土木施工管理技士:4,000円
正直に言えば、
- 金額は民間企業と比較すると小さい
- 支給期間が3年限定
という点でインパクトはあまりありません。
ただし、「資格を評価する姿勢」を明確に示している点は重要です。
自治体の裁量で制度設計が可能であることを示す好例と言えるでしょう。
国家公務員との比較
国家公務員の場合、
- 資格取得費用の公的補助は原則なし
- 資格手当も原則なし
- 昇給や評価への直接反映も限定的
というのが実情です。
地方自治体は国の制度を参考にする傾向があります。
そのため、国が制度改正に踏み切らない限り、大きな変化は起こりにくい構造です。



近年手当の拡充や賃上げもされているので、国の資格手当も検討して欲しいです!
5.まとめ
国家公務員には原則として資格手当はありません。
一方、地方公務員は自治体の方針によって、
- 資格取得費用の助成
- 期間限定の資格手当
などを導入しているケースがあります。
資格手当がないデメリットは以下のとおりです。
・自己研鑽へのインセンティブが弱くなりやすい
・民間企業と比較して、手当面で見劣りする
・民間企業に人材が流出する
資格を取るメリットは以下のとおりです。
国家公務員として働き続ける前提でも、
・専門性を高める
・市場価値を可視化する
・選択肢を持つ
という観点で資格取得は意味があります。
さらに踏み込めば、資格取得後に転職を視野に入れるという選択肢も、現実的な戦略の一つです。
「公務員だから安定」という時代ではなく、専門性を持つ人材が評価される時代に移行しています。
今後のキャリア形成において興味がある方は、一度チャレンジしてみるのも一つの選択肢でしょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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